言いたい放題 ~Hiikichi's BLOG=Ⅱ=~          

知っていること、知らないこと、知りたいこと、知りたくないこと・・・ この社会に対して色々思う事を書いてみるBLOGです。

恋の魔力

お金は人を狂わす(人を変える)と言われます。お金は、多くを得過ぎても、逆に失い過ぎても危険を伴う。ならば、貧乏であろうと金持ちであろうとそのどちらでもない普通であろうと、あまり変化がなく収入が安定していれば現在と極端に違わず狂うこともない。ところが・・・

お金は自分だけでは生み出せないが、自分にしか生み出せない"心の起伏"によって人は狂う(変わる)ことがある。そして誰にも変化を起こし得るのが「恋心」。

17世紀フランスを代表する劇作家モリエール(ジャン=バティスト・ポクラン:1622年1月~1673年2月)は、お金を描いた『守銭奴』や恋を描いた『女房学校』などで(それ以外にも多数作品あり)、人の心を茶化して見透かしています。特に女房学校では、 恋を偉大な教師に見立てる純情な青年(オラース)が、恋の力は別人にさえしてくれると言います。が、この青年が恋した無邪気な娘(アニェス)に同じように恋する金持ちの老紳士(アルノルフ)は、金の力で娘の心を操り結婚にこぎ着けようとする。

アルノルフは、市井に於いて、亭主が稼いで来た金を浮気相手に貢ぐような女達の多さを知り憐み、妻にするなら賢い(狡賢い)女よりも、無知(無垢)な女と決めていた。そして孤児のアニェスを引き取って修道院に寄宿させ育て、理想の女となったアニェスを妻に出来る日を待ち望んでいた。この辺りは、我が国の源氏物語で、光源氏が若紫を育て上げていくのをヒントにしたのではないかと思っています。ところが、親友の息子であるオラースがアニェスに恋をした。アニェスもオラースに惹かれていく。これに焦ったアルノルフはあらゆる手段に打って出るが、金の力に狂うアルノルフは、恋の力に狂うオラースに負ける。恋(愛)は金に勝ったという話なのですが、それもまた皮肉を込めているのでしょう。

 

恋する期間、人は相手に対して変化する。金を持っている期間だけ人がハイになるのと同じ。だが、恋が成就した時、恋を持続することは難しい。そして、心に鍵は掛けられない。もしも、次の誰かに恋した時、新たなる教師によって変えられた人は、前の恋を見限ってしまう可能性を大いに秘めている。金の終わりが付き合いの終わりとも言われる人間社会では、恋の終わりも(男女の)付き合いの終わりになり得る。

であるならば、恋するのはいとも簡単だが、恋の持続ほど困難なものはなく、故に、恋の持続を成す努力を怠った時、人は(一つの)幸せを失くすと考えられる。それが、最後の幸せであったかもしれないのに、先のことなど何も考えずに人は恋に走る。男であろうと女であろうと、恋も金も大切にしなければ変り果てる人生となる。