言いたい放題 ~Hiikichi's BLOG=Ⅱ=~          

知っていること、知らないこと、知りたいこと、知りたくないこと・・・ この社会に対して色々思う事を書いてみるBLOGです。

「賢人の知恵」のご紹介

スペインの美術、音楽、文学が最も隆盛した15世紀から17世紀を「スペイン黄金世紀」と呼ばれます。その中でも16世紀中頃から17世紀前半までは「黄金の80年」とも別称される。それが何年に始まって何年に終わるのかは明確にされず、そこら辺が如何にも大らかなスペインらしいところでもありますが、実は、没落が進む80年でもあった。1588年のアルマダ海戦でスペインが誇った無敵艦隊イングランド海軍に敗れます。それを皮切りにしてスペインは次々と制海権を失い、遂に80年戦争(1568年から1648年)でもネーデルラント独立解放軍に敗れ去る。これでネーデルラントはオランダという新たなる国名を持ってスペインからの独立を果たします。オランダに独立されたスペインの威信は地に堕ち、ヨーロッパにはイギリスの時代が到来することになる。

この激動の17世紀に、スペインを代表する著述家バルタザール・グラシアン(1601年1月8日生~1658年12月6日没)が活躍します。スペインを代表すると書きましたが、高名な哲学者フリードリッヒ・ニーチェは「ヨーロッパはいまだかつて、これほど精妙にして複雑な人生の道徳律を生んだことはなかった」と記しています。またニーチェと同じくドイツ哲学の偉才として知られるニーチェの師でもあるアルトゥル・ショーペンハウアーも「人生のよき手引書である」という言葉を残し絶賛しています。現代では、世界的なテノール歌手ルチアーノ・パバロッティが愛読書として挙げるなど多くの偉人・賢人がバルタザール・グラシアンの書を読んでいます。欧米諸国では、マキャベリの「君主論」と並ぶ不朽の名著と称され数多の人に読み継がれているのが「賢人の知恵」。

 

我が国でも愛読書としている人は多いと思うのですが、神道国及び仏教国である我が国では、聖職者(グラシアンはイエズス会の修道士でもある)の書いた人生訓は生真面目で禁欲的で理想論に過ぎないと敬遠されることも多い。ですが、毎朝神棚に向かい柏手を打ち、仏壇に向かい般若心経を唱える此方でも、この本は素晴らしいと思いました。

日本もまた、グラシアンが生きたスペインのように、戦争に敗れ黄金期が終わり、戦後経済の急拡大もそのバブルも弾けて終わり、という風にけっして順風満帆な社会ではなく、寧ろ不安定な政治経済で先の見えない不安に怯える人が少なくない。故に、この本は、多くの人に良いヒントを与えてくれそうな気がします。

 

此方は、確か去年の秋頃に中古本屋で200円で買いましたが、いや、200円でこれだけ読みごたえがあれば本当に嬉しいです。新品でも1700円で買えます。書いてある内容をイチイチ此処で書いたりはしませんが、良書は、触れる機会があるのなら先ず触れてみるべきです。内容が合わなければ読み進めなければそれで済む。最初は書店の棚で手に取ってちょっと中身を拝見させて頂いて、これは、と思ったら財布と相談して買えるなら買ってみる。買えなきゃ何度か通って立ち読み繰り返す。本当に欲しくなれば買う。200円は、焼酎一杯分より安く済み、焼酎一杯分より遥かに味わい深い。これはお薦めです。多くの人は既に読んでるでしょうけど、読んだことない人は物は試しに読んでみて下さい。