言いたい放題 ~Hiikichi's BLOG=Ⅱ=~          

知っていること、知らないこと、知りたいこと、知りたくないこと・・・ この社会に対して色々思う事を書いてみるBLOGです。

言葉を端折られる怖さ

前回、アルトゥル・ショーペンハウアー氏を賢才と持ち上げましたけど、奇才や異才と表記するのが正しい御仁であることは、この人の人物像を知っている多くの人が口を揃えることでしょう。

兎に角、自己愛に終始して、自分以外の者の才能を認めず、自分を高く評価しない者は敵と見做すか愚人と見做す。これほど我が侭な人も珍しいのですが、これほど我が侭な人に影響を受けたという偉人が多いのも珍しい。ショーペンハウアー氏に影響を受けたという人達は、この人の(孤独を屁とも思わない)強さに惹かれたのかもしれません。偉才、賢才、鬼才、秀才、天才、異才、奇才等々、特別な人達がしのぎを削るレベルの世界では、何ものにも動じない孤高の強さを持ったショーペンハウアー氏のような人に憧れる人が一定数存在するのは頷けます。世間の評価の良し悪しで作品の価値を決められてしまう作家や芸術の世界では特にそうなのでしょう。

 

ショーペンハウアー氏の我が侭ぶりを象徴する有名な逸話を一つ。

氏の友の一人と云われるゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ:1749年8月~1832年3月)から、或る時、「おまえの息子はきっと大成する」と言われた。普通なら嬉しい言葉です。ところが、"一家に一人しか大成する者は出ない"という持説を曲げないショーペンハウアー氏は、(彼は、自分のことを大成しないと思っている)という風に受け取った。友と言っても40歳近くも年上の先輩の言葉です。しかも、神聖ローマ帝国を代表する多彩な偉人ゲーテです。いくら自分に自信があったにせよ、素直に受け止めて「ありがとう」の一言と笑顔くらい返せばよいものを。尤も、この話は眉唾。この程度の作り話はあとからいくらでも書けますから。

そもそも、40歳近くの年の差がある人から見た時、ショーペンハウアー氏が何歳であろうと鼻たれ小僧の域を出ないでしょう。なので、「私から見たらまだまだお前には足りない部分も多くまだ大成したとは言えないし、大成したと言えるまでになるかどうかは分からない。が、お前の息子ならばきっと大成する。それほどおまえは優秀だ。」程度の事しか言えないでしょう。「おまえの息子はきっと大成する」という風に言葉を端折ると、その言葉の受け止め方も如何様にもねつ造出来る。

特異とされるショーペンハウアー氏の人物像には、後世が勘違いするようなねつ造話で脚色された部分が多々あるのかもしれません。ショーペンハウアー氏に限らず、歴史上の人々はそういうの多いでしょうね。

 

政治家の言葉、芸能人の言葉などもしょっちゅう端折られる。そして面白おかしい解釈が添えられる。にこやかに笑える解釈なら良いですが、悪意に満ちているものが少なくない。言葉(文節)を端折る、揚げ足を取る、そういう事を得意げに繰り返すマスコミギョーカイ人ってのは嫌いです。そして、まんまと騙されて悪意に加担する野次馬達も嫌いです。だから此方も、ただの野次馬にならないように人の言葉は最後までよく聞いた上で吟味しよう。